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JMR生活総合研究所

大きな需要を創造した「歳時」

 

「需要不振」の「1月・2月」

既存店マイナスに悩む小売りチェーンにとってみれば、「毎日の売上」こそが最大の関心事である。如何に「天気」が悪くとも、「休祭日」が少なくとも、例え1ヶ月の稼働日が少なくとも、日々の売上を積み上げ、少なくとも昨年を上回ることが使命である。

「新店で既存店マイナスを消す」ことが当たり前にようになっている現状に対して、「今の新店は商圏内競合が激しく1年や2年で投資回収はできない。結局既存店で利益を出さないと新店を出す投資余力がなくなる。体力が弱ったチェーンが『新店競争』から脱落し、さらに『既存店改装』にも投資ができなくなって市場から消える」という警告を何度も聞いた。

小売業において、年末年始の喧噪後の1月、2月は、悩みの月である。

俗に「ニッパチ」と言われる閑散期であるが、家計支出からすると8月は年間の消費支出では8.5%を占め、1ケ月平均よりも1.8%上回っている。食料費では7.6%も上回っている。しかし、2月はやはり言葉通り「不振」な月で、消費支出で年間の7.2%、1ヶ月平均より13.5%も下回っている。前月に当たる「1月」も、食費で見れば1ケ月平均を8.6%下回る。

結局、1・2月は、特に「食費」では「鬼門の月」と言える。食を中心とするスーパー・CVSでは頭を悩ます月と言える。(図表1・2参照)

「1月・2月」に売れる商品

全体として、あるいは、「食」にとっては不振の1・2月であるが、「被服及び履物」の1月は、1ヶ月平均を6.3%上回っている。同じように、「1月の「その他消費支出」も1ヶ月平均を15.5%も上回っている。いわゆる「華やかな年始需要」の一端である。これではお正月を休めない訳である。

さらに、「需要が大きくなる」費目を小分類で見ると、「食費」では、
*1月・・「ぶり」「かに」「貝類」「牡蠣」「葉茎菜」「ほうれんそう」「はくさい」「ねぎ」「生しいたけ」「きのこ」「みかん」「いちご」「ココア」が・・
*「2月」では、「いわし」「かき」「干しいわし」「ほうれんそう」「白菜漬け」「チョコレート」「ココア」が、
1ケ月平均を大きく上回る消費となっている。

商売の鉄則からすれば、如何に「不振の月」であろうとも、こうした「売れる商品」をきっちり「売切る」ことが本筋である。

さらに、翌月の3月に需要が高まる「スパゲティ」「いわし」「かれい」「あさり」「他の貝」「他の乳製品」「たけのこ」「わかめ」「大根漬け」「オレンジ」「他の柑橘類」「いちご」「ソース」「他の和菓子」「キャンデー」「サラダ」の事前の促進が課題となる。

他の費目でも、注目すべきは以下の「需要」である。

*3月には、「新入学・新社会人需要」が高まる。「家電製品」や「ベット」、「他の婦人用和服」「背広服」「男子用学校制服」「婦人用洋服」「婦人服」「女子用学校制服」「ワイシャツ」「着尺地」「婦人用ストッキング」「運動靴」などの需要が高まる。
*しかし、「通学用かばん」や「書斎・机」などは、1月から需要高化が始まっている。「おじいちゃん・おばあちゃん」の「孫需要」である。(図表2参照)

突出する「ワンデイ需要」

再度、商売の鉄則に戻れば、「1ヶ月の需要」なんていうものはあてにならない。「12ヶ月のマーケティング」ではなく、「52週」、いや「365日」のマーケティングが必要である。

1・2・3月の需要の中で、「1日」で爆発する大きな需要がある。「2月3日の節分」「2月14日のバレンタイン」「3月3日のひなまつり」である。さすがに最近の「1月第二月曜の成人の日」は、消費拡大に繋がるものが少なすぎるが、あとの「歳時」では、「恵方巻」や「チョコレート」「ひなあられ」などのように、その日に大きな需要のピークがある商品が存在する。本誌3号(06年12月発刊)の「予約」でもとりあげたが、「11月のヌーヴォ・ワイン」「12月のクリスマス・ケーキ」と並んで、「節分の寿司」と「バレンタインのチョコレート」は、年間MD計画の中でも、最も重要な「日」である。(図表3・4参照)


「ワンデイ需要」に関連して、注目すべきは、「突出する費目以外に、関連して拡大する『他』の費目である。

例えば、「2月3日の節分の日」には、当然「調理済の寿司」の支出が突出するが、他に厄除けに関連する「いわし」「干しいわし」「他の缶詰」や、「豆類」が大きく拡大する。さらに、「みかん」「他の柑橘類」「いちご」「チョコレート」や、手作りの「恵方巻」のための「干しのり」も消費が拡大する。売場計画としては、こうした関連商品を含めて、「生活シーン」に対応することが重要である。

「2月14日のバレンタイン」では、
「チョコレート菓子」が関連する商品と言えるが、他の消費拡大している費目は、バレンタインに関連しているかどうか、よくは分からない。

3月3日の「ひなまつり」では、「はまぐり」が含まれる「他の貝」を始めに、貝類・魚類の消費が拡大している。また、「まんじゅう」「他の和菓子」「ケーキ」「キャンデー」など甘味や「茶葉」、「いちご」や「他の柑橘系」などのフルーツ、さらには「調理済の寿司」「外食の寿司」も需要が拡大する。(図表5参照)

家庭イベントとして上位を占める「子供・夫・妻の誕生日」と同様に、子供の居る家庭にあっては「ひなまつり」は、重要な家庭イベントであり、かつ、特別な料理を出す日である。こうした「日」に対応するMDは、「単品」ではなく、「生活シーン」でなくてはならない。(図表6参照)

需要を創造した「恵方巻」「バレンタイン」

近年の「節分」の店頭告知は年々賑やかになってきている。特に「恵方巻」は関西でこそ馴染みの歳時メニューであるが、関東ではそうした風習はなかった。この恵方巻を「全国区」にしたのはセブンイレブンだとされている。1989年に広島限定で発売された「恵方巻」は、年々販売エリアを拡げ98年に「全国発売」となった。ローソンが01年、ファミリーマートが03年から全国発売で追随した。

もともと、関西の海苔店が74年に早食い大会を開いたとか、77年に大阪海苔問屋協同組合が道頓堀で海苔の販売促進行事にとりあげたなどの逸話があるように、「恵方巻」は「商売人が創造した需要」である。

「2月3日の節分」での、「調理済寿司(その多くは恵方巻)」の消費支出は、00年の181円から、毎年伸び、06年には316円にまで拡大している。

農水産従事世帯を含む、「2人以上の一般世帯」での、「2月3日」、一日の消費である。コンビニエンスではレギュラーサイズで350円前後であり、それを基準にすれば「日本全国のすべての家庭で、1本の恵方巻が買われていた」ことになる。ミツカン調査では、05年で恵方巻の市場規模は144億円にまで膨らみ、恵方巻きの認知率は、全国で02年の53%から05年は88%にアップしたと報告している。さらに、「恵方巻きを実際に食べた人」の割合は62%で、半数以上の人が節分に食べたという結果も報告している。

一方、メリーチョコが伊勢丹で始めたとされる「バレンタインのチョコレート」も、日本独自の「重要創造」である。

「バレンタインチョコ」の需要は、「2月14日」以前から準備されていることもあり、「ワンデー」だけでは掌握しにくい。その前後を含め「2月のチョコレート消費」を見ると、00年887円が、06年には1058円と拡大している。一時ほど「義理チョコ」が盛んではないのに、年々消費は高まっている。また、「バレンタインチョコ」が家計消費以上に、個人消費に支えられているとすれば、このマーケットはかなり大きなものになっている。

06年のバレンタイン需要は550億円と言われ、前年比3.7%の増加とされている。いまだに成長している要因としては、「自分へのごほうび」で高いチョコが売れているからと言う。

森永製菓の調査によると、「本命」以外に送る相手として「職場・学校の義理チョコ」が減少している反面、「父親」が58%、「兄弟」32%、そして「自分へ」が24%となっているという。また、「手作りチョコ」を送る相手として「同性の友達」が36%、特に10代では88%がそうであるという。

言わば「バレンタインの儀式」に近かったものが、「チョコレートを楽しむ日」へと大きく転換していることを示している。その流れをつくったのは間違いなく百貨店や量販店、さらには著名な洋菓子専門店である。(図表7・8参照)

賑わう1・2月の売場

全体としては「不振」の1・2月の売場は、過去はあまり楽しい売場ではなかった。正月の喧噪の反動や、年度末に向けてのバーゲンセール一辺倒、さらには、一部12月決算メーカーが、「新年度スタート」の時期で「企画枯れ」をしている時期でもあった。

しかし、ここ数年「1・2月の売場」は結構賑やかになってきている。1月末の量販店では「節分・恵方巻予約」「バレンタイン」が同時に売場を作っており、「受験生応援」の売場も賑やかになっている。加えて季節料理の「鍋物フェア」が実施され、「莓フェア」も3・4月ピークに向かって売場を赤く染めている。2月になれば、いち早く「ひなまつり」のエンドも登場する。

またドラッグでは季節商品の「風邪コーナー」、「花粉症コーナー」、さらにすっかり定着した「言葉」になった、「メタボリックシンドローム」のエンドが組まれている。さらに、「手荒れクリーム」のエンドもよく見かけるようになった。

こうした歳時は、昔から「月次MD」には取り上げられていたものだが、大がかりな売場演出が行われるようになったのは、最近のことである。

特筆すべきは、こうした「歳時売場」が同時並行で作られながら、毎週のように変化して、次の「歳時」に引き継がれていっていることである。売場の「効率」と「売価競争」に明け暮れていた時代とは、大きく様変わりしている。何よりも「売場」が楽しくなっている。

図表9は、スーパー・ドラッグ・CVSの1月末の「1日」の売場」で、展開されていた「歳時」である。「バレンタイン」が共通の歳時テーマになり、スーパーでは「節分」「鍋物フェア」「がんばれ受験生」が同時に行われており、ドラッグでは「風邪」「花粉症」「手荒れ」が季節エンドの定番となっている。
各歳時について、07年の特徴を整理しておこう。(図表9参照)

惣菜売場と一体となった「節分」

先にも触れたように「節分」需要を大きく引き上げたのは「恵方巻」である。1月にはその「予約」を告知するPOP・のぼりが惣菜売場に掲載される。昨年あたりから、大きな「太巻き」が天井から「恵方」の方に向いて吊り下げている店舗が増えた。また、床に「方位」を示すフロアシートが貼られている店舗もある。

惣菜売場の近くに、昔からの「ふく豆」売場が設置され、鬼の面が彩りを添えている。このコーナーでは北日本ではよく使われている「落花生」も定番となり、また、A店のように「いわしの缶詰」を関連陳列している店もあった。

今年になって目立ったのは、惣菜売場のいたるところに「節分」のPOPが掲載されていることである。その多くは「寿司売場」である。「予約」を印象つける意味もあるが、節分前後の需要を促進する狙いもある。また近年では、「恵方巻」は小ぶりにして、ちゃんとした「ちらし寿司」をメインディッシュにするという「節分」の楽しみ方もある。

また、D店のように「手作り恵方巻」のために「寿司関連商品」のエンドを作っている店も見られた。「予約の恵方巻」で学習した消費者が、今後の「節分需要」に対して新たな楽しみ方を求めている。セブンイレブンでは「太巻き」をイメージした「ロールケーキ」を発売した。

部門横断の「がんばれ受験生」

「キットカツ」のゴロ合わせで、すっかり「受験生の定番」になったネスレの「キットカット」は今年も、多くの受験シーズン限定の商品を発売した。数年前までは「がんばれ受験生」のアウト展開は、キットカットの独壇場であったが、数年前から数多くのメーカーから「ゴロ合わせネーミング」の商品が発売されている。

ロッテは、受験生への応援商品を「めざせ合格!」のコピーで統一した。

ガムでは「めざせ合格!キシリトール」を「きっちりトール(通る)」という語呂合わせで発売した。

コカ・コーラは、総合キッズ飲料「Qoo(クー)」のプロモーションとして「合格クー(ごうかクー)」をWEB上で展開している。

日清食品は「チキンラーメン受験生応援カップ」を発売、チキンカツ(「きちんと勝つ」)や五角形ナルト(「合格ナルト」)といった縁起をかついだ具材が入っている。また、「チキンラーメン受験生応援カップ」を、全国一斉発売した。

グリコは、昨シーズンから「ポッキー」を逆さまから読むと「キッポー(吉報)」となることにちなんで、受験生応援企画を始めた。

亀田製菓は期間限定で、新商品「合格するぞ! ハッピーターン」を販売した。

こうしたゴロ合わせ商品の登場によって、「受験生応援売場」は一挙に広がった。

A店では、全館いたるところのエンドに「がんばれ受験生!」ののぼりがかけられており、受験生に手軽に出せそうな商品が並んでいた。「フルーツ売場 」「カップ焼きそば・即席麺」「シーチキン・コーン・ドレッシング」「インスタントコーヒー・ココア・紅茶」「アイスクリーム」「菓子パン」エンドを、「がんばれ受験生」一色にしていた。

売場のプロセスとしては、1月に「ゴロ合わせ商品の集中山積」を行い、2月には、各売場で横断的に『がんばれ受験生』をテーマにするという手法がとられている。

「受験生応援」では、ドラッグらしい展開も見られた。E店では、「酸素スプレー」や「眠気さまし」、あるいは「よく眠れる薬」、スポーツドリンクなど、スーパーやCVSとは違った形で受験生を応援していた。

「受験生」のような、ややロングランになる歳時テーマに関しては、如何に売場に変化を出していくかということが課題となる。特に季節限定商品が多いテーマに関しては、早い立上げで完売しておき、後は店内演出で盛り上げるというMDが重要になる。

オリジナリティの発揮・バレンタイン

550億もの規模に膨れあがったバレンタインでは、ここでの売上が業績を大きく左右するようなメーカーが数多く登場する。

芥川製菓、アラカルト、宮川製菓、ハート、ハマダコンフェクショナリー、チロル、共立食品、メリーチョコなど多くのチェーンに採用されるメーカーが存在する。

こうしたメーカーの特徴は、そのオリジナリティにある。

芥川製菓は、同じ時期に売場で展開されている「がんばれ受験生」との連動を意識し、「おみくじ付きチョコ」を発売、鳥居を組み合わせたディスプレーを製作して「受験生応援商品」としても展開可能にした。

アラカルトは、ヨーロッパのパティシエ・ショコラティエ監修の「アソート」を数多く発売している。スーパーやコンビニエンス、一部大型ドラッグなどで人気となっている。

メリーチョコレートカムパニーは、1958年に伊勢丹でバレンタインを始めてから50年目に当たる今年、「バレンタイン50回目記念商品」を発売した。パリで行われた「第12回サロン・ド・ショコラ」に出展した商品や、「第9回チョコレートショー ニューヨーク」で発表された商品などを発売した。

一方、大手メーカーの中でも、サントリーは常に歳時を意識して「ラッピング」「バレンタイン仕様商品」を出している。製菓メーカーでも明治製菓・森永製菓は、特にこのバレンタインに注力している。

こうした動きは、小売りにとっては問題をはらんでいる。メーカーのオリジナリティが発揮されればされるほど、「小売りのオリジナリティ」がなくなってしまうのである。アラカルトのヨーロッパパティシエ・ショコラティエのシリーズは人気があり、どのコンビニエンスにも一番目立つ位置にある。この結果、どのチェーンでも同じようなバレンタインになってしまうのである。

サークルKサンクスでは、オリジナルな「ル・コルドン・ブルーのチョコレート 」、「和のテイスト」をちりばめた「しょこら小町シリーズ」を発売した。またバレンタイン直前には、フランボワーズ 小竹 末司シェフ、リュー・ド・パッシー 長島 正樹シェフ監修の2アイテムを追加した。

セブンイレブンでは、世界最大のチョコレート原料メーカー「バリー カレボー社」の高級カカオを贅沢に使用した商品を40アイテム取り揃え「ベルギーチョコレートフェア」を開催した。バレンタイン商材としては、「テオブロマ」の土屋公二シェフが監修したチョコを始め、バリー・カレボー・オリジナルアイテムを中心に据えている。実は、この「ベルギーチョコフェア」は、「バレンタイン」だけではない。「焼立てパン」「デザート」「アイスクリーム」「ドリンク」と、部門を横断する「統一テーマ」なのである。この手法は、昨年春「新茶フェア」にも見られた。

スペースに余裕があるスーパーでは、バレンタインコーナーは年々巨大になっている。ショーケース1本を、一メーカーで品揃えするような展示も増えている。当然のように「ホテルブランド」「専門店ブランド」の誘引競争になっている。

クロスMDから部門連動へ

この他、「鍋物フェア」「ひなまつり」「莓フェア」が、スーパーの1・2月歳時テーマである。

「鍋物フェア」では、「つゆ・たれ・ぽん酢」を中心に、昆布、削り鰹、マロニー、柚子胡椒、しいたけ等、「鍋物」に必要な食品が全て山積してあるような売場が増えた。さらには、野菜・肉など生鮮と連動してPOPなどで「統一的に」訴求されている。

「莓フェア」では、これまであった「莓+コンデンスミルク」以外に、「莓」を使ったスィーツ、菓子までを包括する展開が見られる。やがて莓のピーク時期になれば、セブンイレブンのように、各部門横断で「莓フェア」が実施されるであろう。 「ひなまつり」にも部門横断の志向が読み取れる。先に触れたように「ひなまつり=ひなあられ・菱餅」だけではなく、いやそれ以上に「ひなまつり」に関連する「食品」の拡大がある。つまり「ケーキ」「和菓子」や「魚・貝類」などである。ここでも、チルドデザート・和生菓子の売場や、「魚・貝類売場」での「統一演出」が見られるであろう。

クロスMDは今やスーパーの販促にとっては常套手段となっているが、今後は、どれだけ部門横断で、しかも鮮度のある売場演出が出来るかが競争力となろう。

カテゴリーになった「風邪・花粉症」

ドラッグの店舗では、「風邪コーナー」「花粉症コーナー」が同時並行で展開されている。「風邪コーナー=風邪薬」は当たり前であるが、ここに「うがい薬」「のどスプレー」のアイテムがどんどん増えてきた、さらに「のど飴」のアイテムは無限と言えるほど膨れあがっている。体温計は「風邪カテゴリー」のひとつになった。

「風邪カテゴリー」に関連して大きな「カテゴリー」に成長したのが「花粉症対策商品」である。「マスク」から「ゴーグル」「花粉ガード」まで加わり、大きな「カテゴリー」になった。

通常、ドラッグの売場は「薬品・商品分類基準」で構成されている。しかし、ドラッグのお客からの最大の不満は「売場が分かりにくい」である。夫顧客は「風邪をこじらせたくない」から来店しているのであって「風邪薬」を単純に求めている訳ではない。「花粉」も、「どうしたら花粉症を抑えられるか」を求めているのであって「鼻炎錠」を求めているのではない。

こうしたドラッグに来店する顧客の動機に応じて売場を構築しようという試みが、店舗の大型化によって可能になった。いや、もしかすると「必要」になった。300坪の店舗を作っても増えるのは「食品売場」だけでは、ドラッグらしさが失われる。また、売価競争以外のMD力を持たないドラッグの食品売場では早晩、顧客減少になる。「ケアの売場つくり」がオーバーストアになりがちなドラッグに必要になったのである。

「コンタクトケア」は、その好例であった。今や「目薬売場」より大きなスペースをとっている。ロートと各チェーンの協働によるものだと言われている。

「健康食品」が「症状別売場」になりつつある。正確には表示規制によって「健食の効用」は記載できないが、売場演出、POPの工夫によって顧客にそれを伝えることはできる。

そして、近年「手荒れ・乾燥肌」がテーマになってきている。ドラッグのE・F・G店では、独立した「手荒れ・乾燥肌」エンドが作られていた。「ドライマウス」を含めた「ドライ」がこの時期のテーマになるであろう。

そして、昨年「メタボリックシンドローム」が「常識」になった。オムロンヘルスケアでは、06年1月「メタボリックシンドローム」という言葉を知っている人が3%に過ぎなかったものが、07年1月では74%が知っていると答えたと報告している。

売場では「体脂肪対策」のためのサプリメントや健食の他、ヘルシアやサントリー黒烏龍茶、さらにはオムロンの体組成計や血圧計までが関連陳列されている売場が目立っている。

この「メタボリックシンドローム」も、「コンタクトケア」も「花粉症」も、「ドライ対策」も、メーカーとドラッグの協働によって生み出された「大きな需要」である。

顧客の生活を丁寧に「売場で追い続ける」という、当たり前のことが、如何に大きな需要を生み出すか、もう少し「歳時・季節」を丁寧に追いかけたいものである。