e流通革命に対してチャネル政策を転換するときである。現在の主な消費財メーカーのチャネル政策は、取引チャネルを限定しているか、開放しているか、さらに、限定政策のなかで、間接的な卸流通を起用しているか、自前の販社流通による系列店政策か、という軸によって三つに整理できる。限定卸流通システム、限定系列小売システム、開放流通システムである。近年のチャネル政策の焦点は、現状のシステムのうえで、組織小売業の市場寡占化にいかに集中的に対応するかにあった。
e流通革命がもたらす新しい機会と脅威、それぞれの業界条件、自社流通システムの強みと弱み、これらを総合してeチャネル戦略は構築される必要がある。現状の政策ごとにeチャネル戦略の標準戦略を整理してみる(図表3)。
開放流通下の中抜き戦略
開放流通システムの強みは、既存流通との軋轢を回避しやすく、弱みは、店舗依存チャネルの強みを生かしにくいことにある。
中抜きモデルによる主力商品でのeリテイルへの早期参入が必要である。採算物流コストを維持できる品揃えの幅やクロス販売に単価アップの条件をクリアーした上で、中抜きのリストラメリットを生かし、低コストポジションを生み、eリテイルノウハウの獲得とナショナルブランドに再投資していく政策が有効である。早期に参入し、eリテイルノウハウを獲得するのが決め手である。
限定卸流通下の二元戦略
限定卸流通システムは特約制度をとり、卸への特定地域の独占的販売権を与えることを前提としている。この特約制度は、組織小売業の広域化によって実質上崩壊し、メーカーの広域営業によって補完されている。この政策下では、卸のeリテイルへの参入、小売のeリテイルの参入という二段階でのEC化が進むことが予想される。この流通システムの強みは低コストでの全国配荷であり、弱みはチャネル間軋轢である。
この強みを生かし弱みを克服する戦略は、ターゲットセグメントによる二元市場を採用し、商品の区分けによるeリテイルへの参入、新規eリテイル開拓、卸、小売のeリテイルへの参入サポート政策を採っていく必要がある。自社の参入は、eリテイル専用ブランドで対応し、店舗依存では対応できないターゲットへ向けたブランド投入による。純粋eリテイルによるブランド創造が決め手である。
限定系列下のハイブリッド戦略
限定系列小売システムとは、業種小売店の系列化政策をとり、自前の販社によって対応しているシステムである。このシステムの強みは小売との強いパイプであり、弱みは業種小売業の競争力低下である。eリテイルへの参入は、系列店の活性化策として有効性をもつものと考えられる。
系列ハイブリッド政策が基本である。店舗依存組織小売業と対抗できる手段の切り札は、eリテイル参入による店舗依存系列店との相互補完関係を創造することである。そして、メーカー−販社―系列小売の新たな分業体制を再構築する。eリテイルでは店舗の弱みである品揃え補完、営業時間補完、価値提案補完などが可能となる。同時に、eリテイルの補完として、商品の現物接触補完、アフターサービスの補完等が想定される。系列店内有力店再編を基軸に、販社をプラットホームにしたハイブリッドチャネルをエリアごとに再編する。
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