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デジタルな時代の新しい消費者を理解する法則
 
T.デジタルな時代の消費者行動研究
 内府が7月12日に発表したインターネット利用に関する調査によると、自宅でネットを利用している世帯数は全体の40%に達した。いよいよ本格的な「情報ネットワーク社会」である「デジタルな時代」に突入したといえる。この時代の社会がどのように変貌していくのか、様々な分野で研究が進んでおり、いくつかの成果も各方面で発表されてきている。
 では、われわれのマーケティング活動に関わる生活者の消費者行動はどのように変貌していくのであろうか。また、そのライフスタイルは…。この分野でわれわれが満足できる成果はいまだにお目にかからない。現在、企業は消費者の本当の姿を理解できていない。だから、様々なマーケティング活動を実行しても有効打が打てないのだ。
 そこで、JMRサイエンスではこれらの問題に真っ向から取り組んでいこうと、「デジタルな時代の新しい消費者研究フォーラム」を関西学院大学の井上助教授と共に産学共同で立ち上げた。導入期においては、フォーラムの主軸は独自の研究会方式が中心となり、結果としてクローズドな活動に終始したが、今後はもっとオープンな活動形態を計画している。 本稿では、このフォーラムにおける成果の一端をご報告させていただく。
■研究の経緯
 まず、過去のライフスタイルに関する研究成果をレビューした。@村田他(1979)「ライフスタイル全書」に代表されるようなライフスタイルそのものの学術研究 AAIO尺度などライフスタイルを測定するための尺度研究 B山田(1999)「パラサイトシングル」など現在のライフスタイルとは…を論じたもの Cトフラーの「第3の波」に代表される社会動向・未来予測の研究である。
 多数の研究レビューを通じて、消費者行動の根底に存在し、生活者の消費行動を大きく規定している「価値観」に焦点を当てて議論していく必要があるという結論に達し、以下のような研究フレームを設定した。
■研究のフレームワーク
 従来のライフスタイル研究においては、消費者のライフスタイルを理解することにより消費者行動を予測し、企業活動を意思決定してきた。当然、その消費者行動によってライフスタイルがより鮮明になる。両方の相互作用により相乗的に消費者行動とライフスタイルの関係も鮮明になってくる。
 以上のような前提に立ち、過去から現在まで様々なライフスタイル研究が行われ、その研究成果も各方面で数多く発表されている。
 しかし、産業革命以上のインパクトを社会に与えるといわれている「IT革命」は、「情報ネットワーク社会」を出現させる。この変革は、従来の消費者の価値観を激変させ、それがライフスタイルを激変させていくと考える。
 すなわち、20世紀の「工業社会」においてはライフスタイルが理解できればその消費者行動もある程度は予測できた。しかし、今出現しつつある「情報ネットワーク社会」においては、その予測ができなくなってきている。それは、その間に介在している「価値観」が理解できていないからではないか(図1)。つまり、従来の枠組みでは理解できなくなってきたのだ。そこで、当研究では、まず、この間に介在している「価値観」を測定する尺度を開発、「情報ネットワーク社会」における、消費者行動の価値観を理解しようとした。
 その価値観・ライフスタイルにより、消費者のセグメンテーション、ターゲティングが可能となり、企業の側からの有効なアプローチ=マーケティング戦略が見えてくる。次項ではこの価値観を、もう少し詳しく説明する。
U.デジタルな時代の消費者価値観
 「デジタルな時代の消費者理解⇒4P策定の法則」のフレームワークの詳細を示すと図1のようになる。
 まずライフスタイルであるが、この枠組みは村田・井関・川勝他(1979)「ライフスタイル全書−理論・技法・応用」(ダイヤモンド社)を参考に設定した。「消費・購買意識」というのは「生活意識」の一部であり、「個人属性・世帯属性」および「生活構造」の3つの要因によりライフスタイルは形成され、それぞれの要因はもちろんお互いに影響しあっている。
 このライフスタイルが消費者行動に影響しているのだが、前述したようにわれわれはこの間に「デジタルな時代の価値観」を位置付けた。
■「価値観」の検討
 価値観については様々な次元があり、何をどのように設定すべきなのか。応用、発展可能な既存モデルが想定できれば、今回の新たなモデルも容易に導きだせるのだが、ここが最も熟慮を必要とした点である。例えば、堀、山本、松井編(1994)「心理尺度ファイル−人間と社会を測る」においては、価値観尺度として「協同的人生観」「博愛的人生観」「道徳的人生観」など6次元が紹介されているが、どうもマーケティングにおける活用目的にはそぐわない。
 そこで井上助教授に紹介いただいたHolbrook(1999)「Consumer Value」を参考に、価値観の概念形成を実施し、最終的に「効率性」「情報処理性」「エンターテイメント(娯楽)性」「自尊性」の4つの価値観でデジタルな時代の消費者価値観を表現することにした。これらをどのような手続きで設定していったかは、次項「問題提起」において井上助教授に詳細に触れていただいているので、ここでは、その概要についてのみ説明する。
 まず、Holbrookの「Consumer Value」の中から、消費・購買行動に最も影響を与えているであろう価値観「効率性」に注目した。効率性の中には「時間効率追求志向」もあれば費用を最小化したいという「コスト追求志向」もある。また、時間もコストも少々犠牲にしてでも本物を追求したい「本格追求志向」もあると考え、「効率性」を3つの志向性で測定することにした。
 次に、インターネットはコミュニケーション革命を起こすともいわれており、それを表現するために「情報処理性」という価値観に注目した。情報処理性の概念の中には「情報収集志向」という次元と「情報発信志向」という次元があり、この2つの志向性を測定することで「情報処理性」という価値観を指標化した。
 最後に、もっとインターネットを意識できるような価値観はないかと考え、2つの志向性を含めた。一つが「エンターテイメント(娯楽)性」で、インターネットを使用すること自体が珍しく楽しかったり、通常の小売店で探して購入するより、インターネットのほうが楽しいから購入するという価値観も押さえられないかと考え、この志向も測定することにした。
 もう一つが「自尊性」である。本来、これは自己をどれだけかたくなに持つかといった価値観であるが、われわれはインターネットをサイバースペースと考えた場合、どれだけその中に自己陶酔できるのかという指標も必要ではないかと考え、デジタルな時代の価値観の中に入れた。これは「空想的他者意識」という志向で測定することにしたが、この尺度は、堀、山本、松井編(1994)「心理尺度ファイル−人間と社会を測る」のP327辻平次郎を、そのまま採用したものである。
■4つの「価値観」を7つの志向性で測定

 もう一度整理しておく。

  1. 効率性は「本格追求志向」「コスト追求志向」「時間効率追求志向」の3つの志向性によって指標化した。
  2. 情報処理性は「情報収集志向」「情報発信志向」の2つの志向性によって指標化した。
  3. エンターテイメント(娯楽)性は「エンターテイメント追求志向」によって指標化した。
  4. 自尊性については「空想的他者意識志向」という辻平次郎氏の尺度で指標化した。
つまり、4つの「価値観」とは、7つの志向性で測定したものである。 次項では、井上助教授にこの研究の意義と尺度形成について論じていただいた。その次の項で「デジタルな時代の価値観」の詳細を紹介していくことにする。
マーケティング研究者からの問題提起
関西学院大学商学部 助教授 井上哲浩
 インターネット利用に関する普及の目覚しさを強調することは、今や取りたてるほどのことはない。光ファイバーやADSLといったインフラストラクチュアとしての通信網に関する議論、パーソナルコンピュータやPDAというインターネットを利用するための装置の普及、さらには大きな期待が寄せられているIMT-2000と呼ばれる次世代携帯電話の2001年末の上市計画など、いずれもインターネットに関心をよせているビジネス・パーソンなら周知の事実であろう。しかしながら、上記の側面は全てハードウェアに関する点であり、マーケティング戦略上より重要な顧客・消費者に焦点をあてた議論に関しては、どうであろうか?利用頻度や普及度は全て消費者の行動側面から要約される変数であるが、その消費者行動の根底に存在し、行動を大きく規定する「価値」を深遠に議論したことは決して多くない。
 本著は、消費者の従来からの価値およびインターネット時代の価値という両側面に焦点をあてている。そして消費者行動、特に衣食住の3つの様相に関する行動と価値構造と関係を明らかにすることで、これまでの衣食住マーケティング戦略を整理し、さらにこれからのインターネット時代の衣食住マーケティング戦略を構築する基礎を提供することを目的としている。この目的において、本論は価値研究の重要性とインターネット時代の価値をどのようにとらえるべきか、という問題提起を行なうことを主眼におく。
 はじめに、過去の消費者価値に関する研究を簡単に述べ、そしてインターネット時代の消費者価値に関して論じよう。
■過去の消費者価値に関する研究
 はじめに、井上、片倉 (1997)に基づいて、過去の価値に関する研究をレビューしよう。消費者の価値に関する研究において、初期の問題は、どのように価値あるいはライフスタイルを測定するかという尺度構成であった。いいかえれば、どのような価値の種類やライフスタイルの形態が存在し、それらをどのように具体化するか、という問題意識である。この端緒的研究は、Wells and Tigert (1971)やPlummer (1974)によるAIO尺度である。AIO尺度では、どのような活動(activities)を行い、どのような興味(interests)を持ち、どのような意見(opinions)を持っているかに関する非常に多数の質問項目から、価値システムやライフスタイルを導出しようとする。活動に関して仕事、趣味、余暇などの9つの側面を、興味に関して家族、家庭、仕事など9つの側面を、そして意見に関して政治、社会問題、教育などの9つの側面を問う、時には700もの質問を被験者に投げかけるのである。
  AIO尺度の問題点は、尺度構成が非常にad hocなことである。すなわち、統一された尺度集合が用意されているわけではなく、またデータを収集した後にそれらをどう分析してどのような価値システムやライフスタイルを導出するかという統一化された分析手順が確立されていていないのが問題である。つまり、研究者や調査者によって導出される価値に差があり、調査間や研究間で比較ができない。さらには同じ研究者による異時点間の調査でさえ、異なる価値が導出されるのが普通であり、一般性に欠けるという致命的な欠点を保有しているのである。
 この問題点に反応して、現在AIO以外に3つの主要な価値システム/ライフスタイル尺度が存在している。第1のものは、VALS (SRI International Mitchell 1983)尺度であり、第2のものは価値リスト (List of Values)と呼ばれるLOV (U. MI Survey Research Center, Kahle 1983; Veroff, Douvan, and Kulka 1981)尺度であり、最後のものはRokeach's (1973) Value Surveyと呼ばれるRVS (Rokeach and Ball-Rokeach 1989)である。これらを順に簡述しよう。
 まずVALSであるが、VALSはValue And Life-Style researchとよばれるものであり、あのMaslow (1954)の欲求5段階説と社会特性概念に基づいて開発された。元々の調査は、1635名の成人アメリカ人および彼・彼女の配偶者・同居者1078名により行われている。VALSは知名度が高いだけでなく、VALSIIに示されるように改良の努力もなされ、さらには日本語化され日本を第一言語とする被験者を対象とした尺度であるJapan-VALSも開発されている (http://www.nttdata.co.jp/riss/21c/vals.html)ことも注目すべきであろう。
 第2のものは、LOVである。VALSとほぼ同時期に開発されたが、LOVの理論的基礎は、Maslow (1954)の欲求5段階説に加え、Feather (1975)の価値、そしてRokeach (1973)の18の究極価値などから構成され、多様性は高いと言える。Michigan大学を中心として2264名のアメリカ人に対する調査からLOVは尺度構築されている。
 第3のものは、LOVが開発の基礎の一部としたRokeach (1973)の18の究極価値、RVSそのものである。当初は12の価値で調査を開始したが、その後18の究極価値に拡張された。そして、過去の文献レビュー、Rokeach自身の判断、そして30名の学生と100名の非学生とのインタビューを通じて、数百もの尺度が抽出され、経験的調査を通じて、今日存在する18の究極価値が構築された。
 4つの価値尺度およびライフスタイル、すなわちAIO、VALS、LOV、RVSが存在すれば、当然それらを比較研究した論文もある。マーケティングや消費者行動の分野においては、Novak and MacEvoy (1990)によるものがある。Novakらの発見事項は、デモグラフィックス変数を伴うLOVは、VALSのみのモデルより優れているということであり、これはKahle, Beatty, and Homer (1986)の結果と同じである。しかしながら、差は微々たるものであることは注目すべきであり、Novakらも強調している。さらに興味深いのは、セグメンテーション目的には、LOVよりVALSの方が好ましい点である。
 上述の4つの尺度はすべて、消費者がどのような価値やライフスタイルをもち、どの価値システムやライフスタイルに分類されるかという点に関して非確率的なシステムを暗黙的に考えていた。しかしながら、ある人のライフスタイルや価値に関して、非確率的なシステムを考えるより確率的なシステムを考える方が自然であり、また冒頭での議論を思い起こしてマーケティングの基本戦略に本源的に付随しているセグメンテーションを強く意識するならば次のようなアイデアを得る。すなわち、すべての消費者は無条件ならばすべてのカテゴリーに属することがありえるが、ただし4つの尺度のいずれかによりさらにより解答者のライフスタイルや価値に関する情報が集まれば、解答者のライフスタイルや価値カテゴリーをより正確に確率的に決定することができると考えるのである。1970年代中盤から応用統計学の分野で開発された潜在クラス混合モデル (e.g., Titterington, Smith, and Makov 1985; Kamakura and Russell 1989)を用いて、このアイデアを具現化している研究がWagner A. Kamakuraを中心として行われてきた。
 Kamakura and Mazzon (1991)は、その領域におけるおそらくはじめの研究であろう。Kamakura and Mazzonは、RVSに基づき潜在クラス混合序列ロジット・モデルを用いて価値セグメントを識別するというアプローチを開発し紹介した。次いでKamakura and Novak (1992)は、 Kamakura and Mazzonによるアプローチを発展させ、価値システム空間を再現することを可能とするモデルを構築した。また最近ではKamakura and Wedel (1995)は、AIO尺度の一つの問題点である質問項目の大量性の問題に対処する方法を提示している。 Kamakura and Wedelは、AIO尺度にて収集されたデータに対しLatent TraitモデルとLogitモデルを潜在クラスで混合したアプローチを適用し、事後的に調整されたインタビューで節約的にセグメンテーションを行なう一連のモデルを提示している。
■「e」価値の尺度構築
 前節でレビューしたものは、過去の消費者価値に関する研究であり、一般的なものである。本節では、インターネット時代の価値を考える。インターネットの普及に伴い、インターネット時代の価値を測定する尺度を開発する必要があることは言うまでも無かろう。この種の試みに、上記のVALSをInternet上での調査に適用したi-VALS (http://future.sri.com/ VALS/VALSindex.shtml)をあげることができる。しかしながらi-VALSは、VALSに包含される質問をインターネット上で容易に回答できるようにした程度の改良しか処理していないといっても過言ではない。すなわち、VALSの結果抽出される9つの価値 (survivor、sustainers、belongers、emulators、achievers、I-am-me、experiential、societally conscious、integrated)に、インターネットを通じて調査対象となった被験者を単に類型化しようというものである。インターネット時代に特に変化が予測されるであろう消費者行動の側面に焦点をあてたというものではないことに留意すべきである。
 我々は、インターネットにより影響を受けるであろう消費者行動の側面に特に焦点をあて、インターネット時代の価値を測定する新しい「e」価値尺度を開発することを行った。尺度開発の一般的手順は、どのような尺度を構成するかに依存する。たとえばサーストン尺度の場合、第1段階として意見項目の作成、第2段階として意見項目の判定、第3段階として回答傾向による検討、そして第4段階として尺度の調整という一連の手順からなる。またライカート尺度の場合、第1段階として予備的尺度の作成、第2段階として調査の実施と結果の集計、そして第3段階として項目分析と信頼性の吟味からなる最終尺度の作成という一連の手順からなる(井上、井上、小野、西垣 1995)。本著では、後者のライカート尺度による「e」価値尺度開発を試みた。なお、予備調査と本調査を執行することで、第2段階と第3段階を2回行なうことになり、信頼性のさらなる向上を試みている。
 まず予備的尺度の作成であるが、これに先立ち基本的な「e」価値の構成概念が必要である。この点に関して、Holbrook (1999)を参照した。Holbrookは、第1のフェーズとして自己志向(self-oriented)あるいは他者志向 (other-oriented)か、第2のフェーズとして能動的(active)あるいは反応的(reactive)、そして第3のフェーズとして外在的(extrinsic)あるいは内在的(intrinsic)の3つを設定した。各3つのフェーズの組合せにより合計8つの価値、すなわち効率性(efficiency)、遊び(play)、洗練性(excellence)、美しさ(aesthetics)、地位(status)、倫理(ethics)、尊重(esteem)、精神性(spirituality)を導出している(表1)。Holbrook (1999)による消費者価値の8類型の中から、Internet時代の価値を問う本論では、この内から特に効率性に注目し、さらに問題解決効率性、価格効率・本格性、費用最少化、時間効率性に分解した(cf. Peterson 1997, p. 29, p. 83)。
 次に、問題解決効率性、価格効率・本格性、費用最少化、時間効率性の各構成概念を測定する尺度を構築した。まず、2000年8月7日に筆者および株式会社JMRサイエンス社の取締役および社員合計約10名で、徹底的にブレーンストーミングを行い、各構成概念を測定する尺度をリストアップした。まず問題解決効率性に関して、最終的に14尺度を採用した。
 次に価格効率・本格に関して、10尺度を採用し、費用最少化に関して、12尺度が採用された。最後に時間効率性に関して、13尺度が最終的に採用された。
 最終的な尺度がリストアップされたならば、次は、調査の実施と結果の集計(第2段階)と項目分析と信頼性の吟味からなる最終尺度の作成(第3段階)である。上述のように、本著においては予備調査と本調査という2つの調査を執行することで、より高い信頼性の尺度を構築する試みを行っている。まず予備調査に関して、紹介しよう。予備調査は、2000年8月中旬に関西学院大学の学生100名を対象に調査を行った。得られた100人から構成されるデータに基づき、Cronbachのαを各構成概念を測定する尺度に対して計算し、尺度のスクリーニングを行った。
 結果を順に記述しよう。まず、問題解決効率性を測定するものとして、7項目が選出された。次に価格効率・本格性を測定するものとして、10項目が選出された。そして費用最少化を測定するものとして、12項目 が選出された。最後に時間効率性を測定するものとして、12項目が選出された。
 最後に、本調査で入手されたデータに基づき、Cronbachのαを各構成概念を測定する尺度に対して計算した結果を紹介しよう。なお実査目的から、本調査では問題解決効率性を除いて価値を抽出している。若干のアイテム取捨選択の後、最終的に価格効率・本格性に関する8項目からα=.723、費用最少化に関する10項目からα=.788、時間効率性に関する7項目からα=.686という十分実用性に耐える信頼性を保持するインターネット時代の消費者価値を測定することができた。
■問題提起
 本著は、これまで主として議論されてきたハードウェアに関するインターネットの影響ではなく、マーケティング戦略上より重要な顧客・消費者に焦点をあてたインターネットの影響を論じるものである。特に、消費者行動の根底に存在し行動を大きく規定する「価値」を深遠に議論することで、消費者の従来からの価値およびインターネット時代の価値という両側面に焦点をあてている。以降の章において、消費者行動、特に衣食住の3つの様相に関する行動と価値構造と関係を明らかにすることで、これまでの衣食住マーケティング戦略を整理し、さらにこれからのインターネット時代の衣食住マーケティング戦略を構築する基礎を提供することを試みる。

本提言は、「営業力開発」誌 2001・No172号(編集発行:日本マーケティング研究所 執筆担当:JMRサイエンス)に掲載されております。掲載文は以下のU〜Wに続いております。
 
W.消費者価値観を測定する新たな指標
X.
e価値指標を活用したマーケティング戦略構築の法則
1.ライフスタイルと価値観の構造理解による到達可能なターゲット
2.「情報処理価値観」によるターゲティング・コミュニケーション
3.「初期採用者」の価値観で形成されるブランドのコア・バリュー
4.「初期採用者」が教える「e‐コマース」のベネフィット



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