■共感表現のための「顕示的消費」「顕示的消費」とは、ステータス表現のために、視認性の高い柄やロゴなど、シグナルを持つラグジュアリーブランドを選択する行動とされている。ところが、時代は進み、今、このようなシグナルを持ったラグジュアリーブランドの商品も、サブスクで気軽に持てる、低価格の模倣商品が出回るといったことが起こってきている。「ラグジュアリーシグナルの大衆化」である。このような状況の中で、逆に誰にでもわかるシグナルがない、見る人が見ないとわからないラグジュアリーなものを選ぶ「非顕示的消費」が、(特に富裕層の間では)トレンドになってきていると言われている。ところで、今号のテーマは、スポーツマーケティングであるが、スタジアムで試合観戦をする時、そして、観戦だけでなく、試合に行くまでの道中も、大半の人が選手の名前が入ったユニフォームを着ている。チームストアでは、応援する選手、チームのグッズを多くの人が購入している。最近では、選手の名前の入ったタオルで応援することも一般的な光景になっている。「私はこの選手を応援している」と顕示する。全く知らない人でも、同じ選手のユニフォームを着ていると「あなたも!」と、仲良くなれる。選手からも、「自分の名前のタオルで応援している人が目について嬉しい」という声が挙がる。これらを顕示する目的は、他人から自分がどう見られるかというステータスのためではなく、(選手も含めて)他人と共感を分かち合うための表現である。選手の名前を書いたタオルは2,000 円前後で手に入る。お手頃な顕示的消費と言えそうだが、スタ ジアムの増加とともに、今後もさらに高まりを見せるだろう。 営業力開発 2024 Vol.3 No.247 スポーツマーケティングのいまと可能性 スポーツマーケティングが重視される背景・効果 スポーツマーケティングを取り巻く最新トレンド ■弊社独自調査 スポーツに関する生活者の意識 ■企業事例 〈スポーツ自体のマーケティング事例〉 北海道日本ハム 新球場を核とした街づくり NBAニューオリンズ・ペリカンズ スポーツを介した地域体験・コミュニティづくり 〈スポーツを活用して行うマーケティング事例〉 アダストリア 「ファッション×スポーツ」の可能性を追求する レッドブル スポンサーシップ+アスリート支援によるブランディング 〈スポーツを通じた地域活性化・ブランディング事例〉 三重県熊野市 世界遺産+景観を活かしたマリンスポーツで賑わいを創出 茨城県笠間市 スケートパークを活かした街づくり 北海道網走市 スポーツ合宿で地域活性化 |