牛乳石鹼

 

キンレイ「戦国うどん」

キンレイの代表的商品「鍋焼うどん」は、商品寿命が短いコンビニ商品の中でも1978年発売以来32 年のロングセラー商品だ。しかもキンレイはコンビニでの冷凍調理麺では、ほぼ100%のシェアをも つニッチ・オンリーワン企業だが、一方で、カテゴリートップのメーカーとして、常にコンビニチャ ネルでの需要創造が不変の課題といえる。しかもニッチな市場ゆえにマス広告にかける予算には限界 がある。少ない予算という制約による効果的なプロモーションでこの課題を解決しなければならない。 その挑戦の一つがキンレイの「戦国うどん」のプロモーションである。

■三重苦

キンレイのコンビニでの冷凍調理麺は三重苦を背負っている。一つがコンビニの売場でキンレイ商品が 置かれている冷凍リーチイン売場の立ち寄り率の低さがある。二つ目は、店頭での選択肢の優先順位が 低いこと。何か食べたいなと思った時に検討され順位が最後になるというマインドシェアの低さという 課題。三つ目はキンレイの商品自体の問題だが、冷凍調理麺のユーザー離れであり、購入が非常に流動 的であることである。 20〜30代を中心とする男性層の売場への誘導と流動層のトライアル促進がプロモーション課題として明 確になった。

■「ひきこもりがちなデジタル系男子」

冷凍調理麺の主要ターゲットは20〜30代男性だが、さらにプロファイリングによって5タイプの冷凍調 理麺ユーザーから「ひきこもりがちなデジタル系男子」に集中特化することになる。この非常に絞りこ んだターゲートを設定したことが今回のプロモーションの最大のキーといえる。 「ひきこもりがちなデジタル系男子」のプロフィールは、自宅では掲示板に書き込んだり、ブログを書 いたり、ゲーム、ネット、ギャンブルというように、平日も休日もパソコンに向かっていることが非常 に多いなどの特有の行動特性をもっている男子だ。

■3つの着眼点

このターゲットを前提とするとオンラインゲームとのコラボは必然のように思える。しかし、話は単純で はない。この「戦国うどん」にたどり着くためには、他社事例に学んだ3つの成功法則に基づいた企画に よって、その質を高めていることを見逃してはならない。 その3つの成功方程式は、広がりのあるネタ、固定ファンが存在、食品としてのおいしさの3要素だ。こ の3要素を企画のチェックポイントにすることによって、商品開発とオンラインゲームでの仕掛け、さら にはコンビニ店頭への誘導、購買促進が連動する企画となっている。 もちろん、絞りに絞ったターゲット設定によって、心に刺さるプロモーションの展開が可能となったこ とと、さらにはゲームユーザーだけでなく、一般層へも広がる効果となって現れている。

■継続的な繋がり

一般的にプロモーションは一過性となる場合が多い。むしろその短期的な突出をねらうのが本来の目的 であるともいえる。しかし、プロモーションはその一過性と継続性というパラドックスをどう乗り越え るかが大きな課題となっているといっても過言ではない。そのような意味でもキンレイの「鍋焼じゃぱん」 のポータルサイト運営は一つの解答といえよう。現在はソーシャルメディアに注目が集まりがちだが、 「自社メディア」の価値を見直し、再構築することも考える必要がある。