2013年のスタートにあたり、流通コンサルタント田中氏にお話しを頂いた。
田中氏が2013年のキーワードとして取り上げられたのが、「応援・支援」と
「自己投資」であった。
■「円安」進む
安倍政権となり、リーマンショック以来の円安とない、株価も大きく戻している。
これまでのGDPは円高による輸出減の影響が大きく響いていた。日本のGDPの6割
は消費で、残り4割を輸出が占めている。震災の影響もまだ残る中、円安傾向はどこま
で消費の回復につながるか。
春闘では家電以外の業界で、久々に明るい話題がニュースを賑わした。ただ、新政権
になって明るい話題が目立っているが、公共投資をはじめそんなに裕福に金がある訳で
は無い。輸出がそれをどこまで支えるか。結局は今のところ内需に期待するしかないの
が現状である。
シンクタンク等の予測では消費と住宅、設備投資が景気浮上のきっかけになると言わ
れている。まだ円安の効果はこれからである。一方で、円安による値上がりは徐々にで
てきている。ガソリンや小麦など高止まりになっている。価格の上昇が景気の脚を引っ
張りかねない状況にもなる。円安だからと言って消費者の財布の紐が緩む訳では無い。
むしろ価格上昇に対する防衛意識の方が強くでそうである。これまで不景気でそういう
意識は強く心の中にできている。
一方で、チャイナリスクと呼ばれる中国問題。さらには韓国の景気減退など、日本を
取り巻く環境は一触即発の状態である。さらに、ここに北朝鮮が加わり、全くもって余
談を許さない状況である。このように、環境は非常にあやふやな脆い環境が2013年の実
態なのである。
■2013年注目商品
2013年に注目されるものとして、「リファービッシュ」があげられている。いわゆる
新古品と呼ばれる中古品である。Amazonなどの通販では、簡単に返品が出来る。「気に
入らなければ返してしまえ」というのが最近の風潮である。返品された商品はネットア
ウトレットに出てくる。使い込んだ中古品で無く新古品である。それが非常に安い価格
で手に入るとあって人気である。今までのリサイクルショップとは異なる新しい流通形
態ができている。新商品の市場をそれこそ脅かすような存在になってくる気がする。
■低価格競争
ますます激しさを増しているのが「価格競争」である。特にチェーンストアの中で共通
売価という原則が無くなってきているのも注目される。店によって、立地によって同じチ
ェーンでありながら売価が異なる時代になってきた。昔は異なるスーパーのチラシを眺め
て安い店を探すという事だったが、そうでは無くなってきている。以前、講演して頂いた
凸版印刷の「Shufoo!」であれば様々なエリアのチラシを見ることが出来るので、まさにう
ってつけかもしれない。
EDLPもすっかり根付いた感がある。通常は根付くまで10年はかかると言われるEDL
Pだが、西友の対応は早かった。価格も単に値下げするというだけではない。西友では3種類
の価格が存在する。ひとつは「圧倒的な安さ」でこれがEDLPだ。さらに、「さらにお安く」
というメーカー協力で一定期間安いもの、そして、「値下げしました」という棚替え、廃番な
ど所謂見切り品である。このように同じ価格でも訴求が異なる事でそれぞれ異なった「価格
イメージ」を与えている。単に「安い」という時代から、それぞれ「意味のある安さ」の時
代になってきた。そういう意味では、価格競争は不毛と言われてきたが、「価格競争」によ
る新たな需要拡大の時代になってきたと言えるかもしれない。