ロングセラーブランドの中でも、超がつくロングセラーである「三ツ矢サイダー」。その歴史はなんと128年という長さである。
しかし、実際に三ツ矢サーダーに接してみると128年という古さは微塵も感じさせられることはない。むしろ他の商品よりも新鮮
で生き生きとしている。三ツ矢サイダーが128年もの間飲み続けられてきた事実。それはこの新鮮さをいつも忘れずに提供してきた
からではないだろうか。
■120周年V字回復
そんな三ツ矢サイダーだが、危機もあった訳である。それは、96年から7年連続で売上を落とすという事態である。結果
、売上も4割を落とすという事になっている。この時に三ツ矢サイダーとった対策は、もう一度見つめ直すという事であった。
簡単な事のように思うが、これが実はとても難しい。得てして本来のコンセプトを忘れてしまった商品を元のコンセプトに戻すの
は難しい。売れないからコンセプトを変えたのに、また元に戻すというのは出来そうで出来ないことである。しかし、三ツ矢サイ
ダーはそれをしっかりとやった。そして、関係者全員がそれを共有し理解した。自分たちがまず商品を知ること。そして理解する
こと。このことをもう一度スタートラインに戻って確かめたのである。その結果はV字回復という結果である。
■本気で取り組む ・・・ここまでやるか!?
「清く、涼しく、ココロ晴れ晴れと楽しくなる炭酸飲料」という事を全員が理解することで、消費者に伝わっていった。さらに
原料も製造方法も革新の技術で臨んでいる。見えない部分であるが、ある意味、「ここまでやるか?」と思うほどのこだわりである。
しかし、それが消費者の心に響く結果となった。つまり、三ツ矢サイダーの真剣さが伝わったのである。
■新鮮さの追求
次に取り組んでいるのが、エクステンションである。塩入り三ツ矢サイダーが発売された時は驚いた。そして猛暑という実にタイムリー
な時期でもあった。そんなちょっと吃驚するような新鮮な驚きを得られる商品を次々に登場させている。そのどの商品も、「ええっ〜」と
驚く商品だ。先日、講演で聞いていた乳酸系の商品をコンビニで見つけた。そして、見つけた瞬間、手にとっていた。「三ツ矢サイダーにこんなのあるの!」
という驚きと好奇心である。そして、その気持ちは「次は何が出てくるのか?」という好奇心に繋がっている。この作戦は「継続性」という面で大きな成功を
得ていると思う。三ツ矢サイダーという商品が単なるサイダーから、透明タイプの炭酸飲料の新しいジャンルを切り開いたのである。
■顧客の囲い込み
「新鮮さ」を追求していくのは、大変である。それにも増して大変なのが、興味、関心を示して新たなファンになってくれた層をこれからどう
守っていくか。今後の新たな課題である。一過性のファンではなく、三ツ矢サイダーファンとしてどう守っていくか。
「新規性」だけでは維持できない。またエクステンション商品も限界があるだろう。その時に重要なのは、やはり120周年V字回復で突き詰めた
「三ツ矢サイダー」の本質であろう。これを、ぶれること無く伝えていけるか。そこがこれからの新しい顧客との勝負であると言っていいだろう。