POSデータは実際の売れ行きをみる最高のデータである。言い換えれば、今、
何がどれだけ売れているのかが見られる唯一の指標である。POSデータをどの
ように見るか。それによって戦略も戦術も変わってこよう。ただ、結果は結果
である。今後売れるであろう商品を占うことはできない。もちろん、その予兆
を掴むことは可能だ。しかし、分析の仕方、読み方によってはそのような事も
可能になってくる。
■2012年1-6月食品市場動向
2012年1-6月のスーパーマーケットの1店当たりの平均販売金額は、」前年比で
マイナス3%であったという。客数はマイナス3%、客単価はほぼ横ばいである
という。特に震災以降客数の減少が続いている。また、買上店数は逆に増えて
いる傾向がみられる。このことは特に東日本で顕著だという。なぜこのような
結果になっているのか。客数が減っている訳だから、当然、来店頻度が落ちて
いる訳である。さらに客単価は横ばい、買上点数が増えていると言うことは、
一回の買い物でより多く買っている訳である。当然、客数が減っているので値
下げによる集客が実施されているだろう。結果、買上点数が増えても客単価は
増えず、なんとか横ばいで推移しているのだろう。
震災後、“節電”という事が一般的な言葉となった。そして、それは家事の
“簡便化”を後押ししている。その結果、買い物に行く頻度を減らして買い置
きしながら使うという行動が増えたのかもしれない。また、「サラダ」
「調理パン」「ドレッシング」「焼き豚」といった食品が売れているという結果
からも、食事の簡便化が進んでいることが窺える。
■2012年新製品
2012年1-6月の売上ナンバーワンは、サントリーの「オランジーナ」だという。
もちろんCMの効果もさることながら、やはり味が評価されたのだろう。果汁入り
炭酸は隙間商品である。100%果汁か無果汁の商品が多い。
一店当たりの売り上げ金額で前年比113%という炭酸飲料のブームにも後押しされ
た結果であるが、ありそうでなかった商品という感じがする。POSデータを詳細に
見ていくと案外、こんな所に穴があると気づくことも多いかもしれない。
■価格弾力性
値上げは非常に難しい判断が必要だ。価格を下げるのは簡単だが逆に上げるのは至
難の業である。
今回は「価格弾力性」という指標から解説を頂いた。値下げの効果は長続きせずに、
すぐにそれが当たり前の価格として定着してしまう。一度、そうなってしまうと値
上げは難しい。小売りも集客を図るために値下げによる集客効果を考える。超特売
価格でしか売れなくなってしまう事も多い。
事例で上げられたインスタントコーヒーなどは、超特売日に買いだめしておくとい
う消費者も多い。そして、また超特売が実施されることも良く知っている。値上げ
策については専門の書に譲るが、POSデータから、競合商品動向を分析し、価格に
帯する反応を常に見ておくことが重要であろう。
■データを見ること
2012年39週のデータが同社のホームページに公開されている。1-6月期と比べてみると、
既にいくつかの変化や傾向が見て取れる。さらに、新商品の売れ行きも違っている。
飲料や酒類は既に季節を感じさせる結果が出ている。
このように、データを見るときには継続的に見ていくことが重要である。依然と比べ
て何が違うのか。その違いは変化の、本当に小さいな傾向を見つけ出すことが尤も重
要なことなのである。