JR東日本系のコンビニエンスストア「NEWDAYS」(ニューデイズ)の日販が、2008年に
「セブン―イレブン」を抜いたことによって、「NEWDAYS」の存在感を強く印象づけ、さ
らには駅構内の「駅ナカ」市場の魅力を改めて認識させることになった。
「駅ナカ」コンビニは、当然「街ナカ」コンビニとは購買行動が異なる。大きな違いがこれを買
うと決めての目的買いだ。この目的買いの購買特性から、「NEWDAYS」はもともと客単価
が低い傾向にある。この客単価アップ対策としての買い上げ点数増への工夫は「街ナカ」コンビ
ニ以上の取り組みが不可欠となっている。
■3つ目のターゲット
コンビニで商品を売るための様々なKFSのうち店頭こそが最大のポイントである。しかし、コンビニ
店頭でのマーケティングの難しさがアルバイト中心のスタッフで決まってしまうことだ。
コンビニではアルバイトたちの心を掻き立てないとヒット商品は生まれない。従来のターゲットであ
るコンシューマー、ショッパーに加えてアルバイトスタッフという3つ目のターゲットがコンビニでは
重要となっている。
■店のスタッフの売る気喚起せよ
そのアルバイトスタッフに売る気にさせなるポイントが4点あると指摘する。一つ目が「陳列しやすい」
こと。二つ目は「パッケージが斬新で刺激を受ける」こと。三つ目が「店舗の儲けが大きい」、最後の
四つ目に「TVCMなどのマスメディア連動プロモーションである」こと。TVCMは順位としては最後になる
ことに注意したい。
このアルバイトたちの商品陳列の意欲を掻き立てる典型商品が「じゃがりこ」、「じゃがビー」といわ
れ、知られざる商品の強みといえよう。また、子供向けから大人向けとして売り方の工夫をしてヒット
商品となったチロルチョコ「きなこもち」。結果として炭酸飲料というカテゴリーに入ったことによる
アルバイトの陳列心をくすぐった「レッドブル」。吊り下げ可能なパッケージを採用したことで一番売
れるスポットを占拠することになった「グリコスクイーズ」など、いずれも売り方の工夫によって、コ
ンビニでヒット商品となっている。
■売り方への新たな挑戦「タイムMD」
「NEWDAYS」が現在挑戦しているのが「タイムMD」だ。これはファッション業界では一般的だが、
食品小売業としては分かっているがなかなかできない施策の一つといえる。朝のお客様のニーズと夜のお
客様のニーズは違う。そのニーズに合わせて朝と夜と売場を変えると売場が二倍になり、ついで買いを促
進する。ただ、アルバイト中心のオペレーションというハードルは高いが、今後の仕組み化のため
の試行錯誤が始まっている。
■“売り方”が“売れ方”を変える
毎週多くの新商品が発売されているが、売れない商品は発売から2週間ほどで撤去されてしまうコンビニエ
ンスストア。コンビニでヒットしているのは一般的には「新製品」「話題商品」「テレビCM大量放映商品」
と思われがちだが、実は重要なのは「店頭展開」、つまり店頭での売り方にポイントがある。
成熟と不況による縮小する市場の中でヒット商品を生み出すのは至難の技だが、商品開発そのものだけで
なく売り方、つまりコンシューマー、ショッパー、アルバイトスタッフとの「商品の出会い方」の様々な
工夫によって、市場や商品を活性化する余地が多く残されている。