エシカル(Ethical)は聞き慣れない言葉である。企業の社会的責任や貢献、環境保護と言った、今
では企業として必ず果たさねばならない義務を多く含んだ言葉だ。今までのCSR や社会貢献と違う
のは、マーケティング戦略も含めた形での仕組みであることだ。企業活動そのものを規定する仕組
みであると言っていいだろう。
■エシカルの拡がり
欧米では一足先にエシカルが登場し、既に仕組みの中に取り入れられつつある。日本でもエシカ
ルは急速に知名度を得ており、商品や小売りなどに登場している。阪神大震災を契機にボランティ
ア活動は一気に進んだ。その後災害ではボランティアという事を聞かないものはない。そして、大
震災によって、ボランティア活動は終わらない戦いへと変わっていった。しかしながら、大震災か
ら一年半を経過し、喉元過ぎれば・・・の諺通り、人々の関心はやや薄れてきた感がある。しかしな
がら、ボランティア精神は国民の中に深く刻み込まれた。そのような中で、企業としてどう対応し
ていくのか。エシカルを取り入れている企業の商品やサービスを選びたい人は増えている。さらに
は、企業のエシカルへの取り組みを“もっと知りたい”とする人は50%以上、”企業はもっと活動
を情報発信すべきだ“と思う人は実に7 割を超えている。今すべきことは、今までのCSR や社会貢献活動
を一度棚卸し、エシカルというコンセプトで再度構築してみることだろう。そして、その統一され
てコンセプトによって運営していく組織を作ることである。
■誰を巻き込むのか
「エシカル」を知っていて、興味があるのは、
女性40 代と60 代以上で世帯年収が1000 万円を超
える層だという。現状では、まだ非常に意識の高
い人達が中心である。一方で、10 代男性も多いと
いう。生まれた時から携帯、インターネットがあ
り、情報の海の中で育ってきた世代である。非常
の情報に敏感な若い世代の特徴であろう。このよ
うな若い世代に対して、アプローチしていくこと
は重要である。食品であれば「食育」が良く言わ
れる。イジメの問題もそうだろう。この若い世代
にどうアプローチして共感を得るのか。将来の顧
客育成も含めて検討しなければならない。
■エシカルを定着させるために
ソーシャルネットはエシカルを定着させるため
に重要なツールである。情報発信とコミュニケー
ションという観点から、どう使っていくか。実際
にはもの凄く手間がかかる面倒な作業である。こ
こにいかに人や資産を投入できるか。ネットは金
がかからない。という誤った知識を持った人を未
だに見かける。金も人も手間も惜しまずにかけな
ければエシカルは成功しないだろう。
学校教育でも今後エシカルな教育が増えていく。
もっと重要な授業として位置づけられてくるだろ
う。若い世代へのアプローチも含めて情報発信の
在り方を根本的に考え直す時期である。一方的な
情報発信はもう役に立たない。
「のってこ」というサイトをご存じだろうか。
例えば東京から大阪まで移動するので、誰か相乗
りしませんか?と相乗り者を募集するサイトであ
る。事例で紹介があったヨーロッパの「Comuto」
の日本版である。本当の狙いは相乗りによって
CO2 の排出を抑制しようということだ。しかしな
がら、一時注目を集めたCO2 はどこかに行ってし
まった感がある。京都議定書での日本の方針は忘
れられたのだろうか。植林の問題も深刻である。
そもそも林業そのものを一から立て直さないとど
うしようもない状態である。このような事例はい
くらでもある。取り組むべき課題は何か。今、考
えなければならないのである。