■アクティブコンシューマー
男性向けの育毛をコンセプトにした花王の「サクセス」が、何故女性のクチコミサイト@cosmeのベストコスメ大賞で上位にランクされるのか?
このことは従来のマーケティングの常識であるコトラーのSTP理論では説明できない。そこには「アクティブコンシューマー」という存在がある
という。この新しい消費者はこちらが意図していない使い方、与えてもいない使用方法などを考え出して、それを他人とコミュニケーションす
る消費者のことだ。この「アクティブコンシューマー」現在日本人の約50%と増殖している。
■マーケティングの神話
コトラーのSTP理論は、消費者には確固たる欲望がり、それに応じて製品に対するニーズが出現するという伝統的なマーケティングの基本理解で
ある。このコトラーを痛烈に批判したのがスティーブン・ブラウンであったが、日本で違う視点で指摘したのが1993年に刊行された石井淳蔵先
生の「マーケティングの神話」だ。
ヒット商品が語られるとき、明確な消費欲望を前提にコンセプトが確立され、それに対応する製品開発が直線的で論理的に進んだように語られ
る。しかし、むしろ実態は商品が開発者の思わぬ用途で使われたり、思わぬ顧客層に使用されるなど紆余曲折の中で市場に浸透していくことの
事例の方が多い。だから消費者は消費に先立って欲望をもっていると仮定するより、消費しつつ欲望を構成すると考える方が理にあっていると
いう。
物事は因果必然的に決まっていくというものではなく、むしろさまざまのかたちで生まれてくる偶然、“意図せざる結果”をいかにうまく結び
つけて生かしていくか、そのためには、供給者と使用者との「対話」の重要性が強調された。
■「意図せざる結果」の意図的捕捉装置
このような、“意図せざる結果”を発見する方法論として、「マーケティングの神話」では「対話的理解」と言う極めて抽象的なものの見方の提
案に終始していた。
イーライフの運営するクチコミサイト「buzzLife(バズライフ)」はこの“意図せざる結果”を“意図的に発見する”装置がといえるのではな
いか。「buzzLife」は、クチコミのハブとなる約8万人の無報酬のbuzz(バズ)リーダーをネットワークし、実際に商品を使用し、その上で仲
間や友達に紹介するというリアルなクチコミマーケティングサイトである。しかし、単なるクチコミ、サンプリング装置ではなく、商品と消費
者の「対話」装置であることが本質的価値といえるのではないか。
■動き、変わり続ける消費者を捉える
イーライフは「消費者は、動き、変わり続けることを前提にする」ことを提言。では企業側はこの動き、変わり続ける消費者にいったいなにを
すればよいのか、どのように受け入れて、どのように予測するのか、そのための方法論として
@アクティブコンシューマーをパートナーにする。
Aブルーオーシャン戦略Bダイナミックセグメンテーションの3つを提案している。
様々な面で旧来のマーケティングの常識が通用しなくなっている。その大きな要因が消費者の変化だ。現在のマーケティングの一つの焦点が、
ショッパーマーケティングだが、従来のコンシューマーとショッパーをつなぐのがアクティブコンシューマーといえるのではないだろうか。
ポストモダンマーケティングが提唱されて久しいが、マーケティングが新たなステージに移行しつつあるように感じる。