化粧品クチコミサイト「@cosme」

 

化粧品クチコミサイト「@cosme」

日本最大級の化粧品クチコミサイト「@cosme」がプロデュースす るコスメセレクトショップ「@cosme store(アットコスメストア)」 が好調だ。すでに今年4月に5店舗目なるプランタン銀座店がオープンした。 「@cosme store」と通常の化粧品専門店の違いは既存の枠を超えた 品ぞろえにある。一般的な化粧品専門店が扱う商品に加え、「@cosme」 のクチコミランキング上位商品、さらに姉妹版化粧品販売サイト「cosme.com(コスメコム)」 で扱う商品も販売。消費者は複数の化粧品販売店を歩き回ったと同じだけの商品や情報を手に入れられる 新感覚のコスメストアといえる。

■業態の壁を乗り越える

「@cosme store」の狙いは、インターネットクチコミサイトの「@cosme」の 価値をより高めることであることは言うまでもない。しかし、単に従来と同じリアルな店舗の運営では、 ネットとリアルの融合という相乗効果を発揮することはできない。インターネット企業が小売に参入した例で、 長続きしている企業がないといわれていることからもそれがうかがえる。 「@cosme store」には、化粧品の業界の常識を超えようとする挑戦がある。化粧品業界のマ ーケティングは、ブランド・価格帯・販売チャネル・販売方法など、ブランドマーケティングとトレードマーケ ティングが一体化されたところに大きな特徴がある。 当然のこととしてカウセリング主体の百貨店とセルフ主体の業態とは完全に分断され、扱うブランドがま ったく異なっている。消費者視点としては自分に合う化粧品との出会いの場が限られていたという以上に、消費の多様 化の流れと現状の化粧品マーケティングとの間に大きなギャップができつつあったことも事実であろう。

■ショッパーマーケティングの試み

「@cosme store」の店舗運営には、“ショッパーマーケティング”への新たな試みが随所に見られる。 具体的には以下のような試みである。売ることができない商品でも試すことができる「トライアルコーナー」、 店舗で簡単に商品のクチコミ情報を探索できる「バーコードリーダーつきのクチコミ簡単検索ツール」、 販促企画をスピーディーに効果的に展開できる「デジタルサイネージ」、多様なメディアを組み合わせた 「クロスメディア企画」、購買の足跡が分かる「購買分析サービス」、ブランドやカテゴリー、アイテムを横断した MD編集「リアルハイパーリンク」など、興味深い“ショッパーマーケティング”試みが始まっている。

■日常性のあるコスメショップ

@cosme storeの店舗コンセプトは、「日常的な空間の中で化粧品を楽しく買える、選べる店」である。 百貨店や化粧品専門店とドラッグストアとの中間というポジショニングが@cosme storeの立ち位置だ。 そのコンセプトを実体化しているのが@cosme storeの客単価3,000円という実績数字だ。これは一般の 店舗の半分から三分の一だが、一般のお店が年4回の来店なのに比べて@cosme storeは月一回の来店を ねらいとして運営を行っている。この客単価と来店頻度に@cosme storeの目指す価値といえよう。

@cosme storeはネットとリアルの融合に挑戦する事例だが、業界の常識を超える試みこそ注目したい。