青山フラワーマーケットは、「Living With Flowers Everyday」花や緑に囲まれた心豊かな
ライフスタイルを提案するフラワーショップをコンセプトに1988年にオープン、2014年3月末
現在、札幌、関東、関西、福岡に89店舗を展開しています。それまで花の需要の主流だった法
人や冠婚葬祭ではなく、「個人の日常づかい」という新たなマーケットを掘り起こすことで、
他店との差別化に成功しました。ライフスタイルの様々なシーンに合わせて作られたリーズナ
ブルなブーケが店頭に並べられ、それまでの花屋のイメージを一掃。青山フラワーマーケット
の名前と赤いロゴマークはすでに多くの人が知るところです。
■花き市場
花は法人需要によって高度成長期に大きく増加し90年代の花の万博(大阪開催)やその後のガ
ーデニングブームにより多くの人へ浸透しました。しかし、バブルの崩壊後は残念ながら衰退
傾向です。とはいえ、日本の花の生産量は中国、オランダ、アメリカに次いで世界第4位とい
う規模です。一方、購入の接点は約70%が花屋、次にスーパーマーケット、ホームセンター、
ネットショップと続きます。また、法人需要が今現在は70%以下に減少。今後はいかに個人の
お客さまを増やすかが一つの課題です。個人客の購入目的は、以前はプレゼント・贈答用が50
%を超えていましたが、2013年には34%に下がっています。その一方で、自宅用購入が少しずつ
伸び、プレゼント購入に並びかけています。
■青山フラワーマーケットの特徴
青山フラワーマーケットの多くの店舗は、駅ナカやショッピングセンターにあり、通勤や通学の
途中に立寄りやすい。その店構えは、わざわざドアを開けて中に入らなくてもよく、何となく吸
い寄せられ、歩いていながらそのまま花を選べます。華やかでおシャレだが、気軽に入り、花を
手に取ることができ、それこそ雑貨屋さん感覚の雰囲気づくりがなされています。
品揃えでは、今までの花屋のようにバラ、かすみ草、カーネーション、或いは菊、胡蝶蘭などを
中心に据えるのではなく、旬の花、珍しい花、新しい花材が多く使われています。そのため仕入
れは各店舗が担当し、自分たちで売っていくというやり方です。スタッフが手書きでお勧めのポ
イントを書いた黒板や黒い紙のプライスカードが数多く使われており、スタッフお勧めとか、リ
コメンドは店のテーマを補強したり、お客様の選択の手掛かりとなっています。
今までの花屋と一線を画した定番商品として、ライフスタイルブーケという五種類のブーケがあ
ります。グラスブーケは、花瓶がなくてもグラスにちょこっと入れればどこでも飾れる350円の
ブーケ。キッチンブーケは、500円。小さめのブーケでキッチンに置けばお料理をするのが楽し
くなるというものです。750円のダイニングブーケは、家族の団らんのところにお花がちょっと
あると楽しくなるのではないかというもの。次が1000円のエントランスブーケで、エントランス
に置けば、外出時、帰宅時に花が迎えてくれるでしょうというもの。そして、リビングブーケは、
リビングルームにぴったりな華やかな1500円(いづれも本体価格)の束です。どこに飾ればいいか
分からない、どういうシーンで置けばいいのか分からないという悩みに答えて、飾りたいシーン
ごとに、自分で考えなくても、こちらでベストだと思う組み合わせで作ったものを安価に売れば、
みんな飾ってくれるようになるのではないかという「お客様目線」から作られました。
このように青山フラワーマーケットの成功要因の一つは、おシャレだが、気軽に入れる店舗、
また上質感があるが手軽さをもつ商品など、本来なら相反する価値を同時に提供することが出来る
というユニークな発想にあります。