S&Bシーズニング

 

S&Bシーズニング

エスビー食品は、スパイスとハーブを中心とした事業を展開し、その売上合計は1200億円強である。 うち、スパイス&ハーブが213億円、香辛調味料が279億円である。

■スパイス市場

日本における洋風スパイスの市場は、2010年/2004年対比で114%と拡大基調である。 世界に目を向けると、アメリカは862億円、日本は82億円で、10倍近い市場の開きがある。 1人当たり使用金額に換算して比較しても、アメリカは5倍、ドイツは7倍、フランスは6倍、 イギリスは5倍という絶対的な使用量の違いがある。また日本の主婦の30%はスパイス未経験者で、 家庭の55%はスパイスを保有していない、日本での市場の拡大余地はまだまだ大きいのである。 また、海外の香辛料売場は棚の幅も広く、アイテムも多く、サイズも色々とある。その中で、 日本の売場と海外の売場を比較での大きな違いは単品のスパイスとは別に、シーズニングという ゾーンが大きく割かれている点である。塩と同じジャンルで、生鮮素材に味を付ける基礎調味料の 位置付けとして、塩とスパイスをミックスしたものが広く市民権を得ているのである。欧米との 使用量の開きの要因の一つに、シーズニングというミールソリューション型スパイス、要はメニュー 提案型のスパイスの浸透があるのではないかと言う事に着目していく。

■食生活10年の変化

10年前と現在とでどのような食にかかわる変化が起こったのか。例えば買い物難民予備軍の声は 10年前から聞かれており、週2回以上スーパーに出掛ける方々が約5%減少し、他のデータとも合 わせると女性の高年齢化が買い物頻度に大きく影響していることが推察できる。一方、主婦の調理 スキルの低下も問題として浮かびあがってくる。「料理は得意な方だ」は年々減少、料理頻度が減り、 テクニックが伝承されていない状況である。2003年には料理本で調べるのがトップだったが、 2009年頃にはインターネットで調べるのがトップとなっている。ネット検索がいつでもどこでも できる中で、スキルに対して、少し頭でっかちになってしまっている状況が見て取れる。レストラン で食べたメニュー、外食のホームページで見たメニュー、レシピサイトで見たメニューを作りたいと いう欲求が自然と高まっていくのではないかと考察できる。また「お年寄り=和食=煮物」という 図式が全く通用しなくなってきている。むしろ豊富な食体験や海外旅行などを経て、アクティブな シニア層がパンや洋食を好む傾向が強くなっていると言える。 食生活で最も重要視することは、2003年頃のナンバーワンは「健康」、2009年には「おいしさ」が ナンバーワンとなっている。高年齢化が進行し、健康志向と言われるが、実際に食生活で最も重視 することは、とにもかくにも「おいしいこと」が正直なところである。従って、食べることは「体づくり」 から「おいしさ」へとシフトしている。

■お客様の心理

家事の悩みワースト10の1位は食事の支度である。その食事の支度の中でさらに一番悩んでいることは、 毎日のメニューを考えること。家事で手抜きをしたいこと1位は料理だが、家族に手抜きと思われたく ないものの1位も料理である。従って、主婦は最も手抜きと思われたくない料理を手抜きしたいと 思っている、 しかも、週に4回以上は手作りしているという状況である。ここにものすごく大きなギャップ、 チャンスが存在していると考えた。つまり、メニューを考えたくない、いろいろなメニューは知っているけれど、 作り方がよく分からないという不満、ストレスを一気に、「こんな料理が作れる私は素敵」というところまで 持ち上げようというのが、S&Bシーズニングのコンセプトの一つである。